2008年6月16日発行メルマガバックナンバー

この記事は、2008年6月16日に発行された木坂さんのメルマガの一部を転載したものです。

2007年〜2009年あたりのセミナーを受講する際に、前提として学んでおきたい話になっています。

→2007年のシリーズ

→2008年のシリーズ

→2009年のシリーズ

“ブランド”を最短最速で作るための3条件。

“ブランド”と聞いて思い浮かべるのは、やっぱりヴィトンとか、シャネルとかエルメスとか、そういった

いわゆる「ブランド品」を売っているメーカーだと思うんです。

じゃあ、その“ブランド”って一体何なのよ、と言えば、古今東西いろんな頭のいい人が定義しています。

「ある商品やサービスを象徴するもの」

「超過収益力」

「消費者が商品・サービスに対する期待を託すもの」

「企業のアイデンティティ」

などなど・・・。

それらの定義も、まあ個人的には一理あるなと思うものも数多くあるのですが、

わかったようでわからない、というのが実際のところだと思ったりもするわけで。

僕自身はと言うと、

顧客の頭(心)の中にある“価値が高い”というイメージ」

と定義しています。

ブランドというのは、よく誤解されていますが、別に企業が持っているわけではないんですね。

企業に対して「顧客が」持っているもの、より具体的にはイメージなわけです。

ここで「イメージ」という言葉を使っているのは、その「価値が高い」という思いにこれといった根拠がないケースがほとんどだから。

せいぜい「価格が高いから」とか「前買ったのがすごくよかったから」とか

「みんながすごいと言っているから」とか、その程度のものであって、

特に客観的な理由があって「価値が高い」と認識しているわけではないのです。

それゆえに、その感覚は他者と共有することが難しく、

「私は好き!」というごくごく主観的なレベルにとどまることがほとんどです。

ちょうど僕がヴィトンを好きなのに対して和佐君が「塩ビのかばん」と表現するように。

これはつまり、ブランドというものが、ある個人が抱く漠然とした「イメージ」でしかないことを意味します。

だから僕は「イメージ」という言葉を好んで使うわけです。

さて、そのブランドですが、当然築き上げるのには大層時間がかかります。

ルイヴィトンには約150年の歴史がありますし、エルメスには170余年の歴史があります。

シャネルやプラダで約100年、グッチは約90年、

比較的新しいディオールで約60年。

最近人気のボッテガヴェネタは約40年の歴史ですが、相対的に見るとかなり新しいブランドです。

時計で有名なブレゲというメーカーなんて、230年以上の歴史がありますしね。

わかりやすいのであえてファッションブランドばかりを例に挙げましたが、

まあこのくらい時間と労力がかかるのがブランド構築なんだ、ということですね。

ただ、そんな中にあって、すさまじいスピードでブランドを築き、トップブランドと称されるようになったメーカーもいくつかあります。

僕は結構そーゆーのに興味があっていろいろ見ているんですが、

これから、そのすさまじいスピードでブランドを築いた企業に共通して見られる特徴についてお話します。

ブランド構築に興味がある場合には、

特になるべく早くブランドを構築したいという場合は、

しっかり読むようにしてくださいね。

ブランドなんかクソ喰らえ、なアナタはまたいつかどこかで会いましょう。

今回取り上げたいブランドは、

ジョン・ガリアーノ

フランク・ミュラー、

それからロジェ・デュブイの3社です。

ガリアーノは僕がもっとも敬愛するファッションデザイナーで、“自他共に認める天才”というのが通説です(笑)。

後ろ二つは時計メーカーでして、興味がないって場合はたぶん知らないかなー。

でもどちらも、今やすごいブランドになった企業です。

この3社のブランド構築プロセスから、

あらゆる業界でブランド構築のカギとなる条件について学んでいきたいと思います。

まずは、ガリアーノを見ていきましょう。

ガリアーノは、1985年ロンドンでデビューしていますが、当時は「シンプルなものが最高なんだ」というブームでして、

派手なものばっかりデザインしていたガリアーノの評判はそれほどよくありませんでした。

資金がなくて服が作れない、投資家が金を出してくれない、なんてことがしばらく続いたようです。

その後、1991年にパリコレの正式メンバーに加入し、活動の拠点をロンドンからパリに移します。

しかしパリに移ってもロンドン同様に資金難で、自分の生活もままならない状態。

友人の家で寝泊りしながらのクリエイション。

何度も何度も投資家に断られながらも頭を下げ、資金の工面に走っていたと言います。

また生地を買う資金がなく、作品数は17着、すべてカラーは黒、

モデルも有志で参加といったコレクションもあったみたいです。

つまりこの頃のガリアーノは、基本的に「彼が満足できるような作品を作っていない」のであって、

事実上彼の“ブランド”が始まるのはジバンシーのデザイナーからディオールのデザイナーに抜擢された1990年代半ばからなのです。

彼が満足に服を作ることができるようになってから。

それから10年ちょっとで、今のブランドを築きました。

昔雑誌で読んだんですが、パット・マグラスという世界でもトップのメイクアップアーティストが

「ガリアーノとマックイーン(アレキサンダー・マックイーン)のバックステージは、他のブランドと空気が全く違う」

ってコメントしていました。

わずか10年で、数々のトップブランドのショーを担当するメイクアップアーティストに、そこまで言わせるようになった。

10年ちょっとというのは、ヴィトンなど上記の例を見れば明らかなように、異様なスピードです。

“自他共に認める天才”ってのは、伊達ではないようですね。

次に、フランク・ミュラーを見ていきます。

フランクは1991年(1992年)に正式にデビューしました。

もっとも、それ以前にもフランクが作った時計というものは存在していて、ファンは多かったと言われています。

なにせ在学中から“天才”と呼ばれていたみたいですから。

1986年に世界初の機構(詳しく説明するとあまりに眠くなるので割愛)を発表してからと言うもの、これまで

「腕時計の機構としては実現は不可能」

とされてきた機構を次々に完成させ、発表します。

それこそもう、毎年のように。

そうして現在に至るわけですね。

こちらは、どこから見るかによりますが、長く見ても20年弱で今のポジションを築き上げています。

現在では、時計が特に好きでない人も、彼の名前だけは知っていることが多いくらいです。

最後にロジェ・デュブイを見ていきましょう。

このメーカーは、時計が好きでないとまず知らないと思うんでさらっといきますが、ブランド創設は1995年です。

ですから、ここも約10余年で業界のトップブランドとして仲間入りを果たしたことになります。

ここがすごいのは、デザインももちろんですが、このわずか10年の間に、

自社キャリバー(時計の中身)を20個以上開発しているという点。

これは、まあ時計好きでない場合には意味不明だと思うのですが、

どのくらいすごいことかと言うと、日本から歩いて月に行けるくらいすごいのです。

・・・っていうのはもちろん大げさですが、

でも、それくらいの表現がそこそこ当てはまるくらいには、すごいこと。

毎年2個のペースで自社キャリバーを開発しているわけですから、それ相当のものだと思います。

ある雑誌では「驚異」と表現していましたが、実際そうなんだろうなあ、と。

さてさて、これらのブランドに共通のものはなんだかわかりますか?

って、このあまりにざっくりした説明でわかったらすごすぎるんですが、少しググるなりして情報を捕捉しながら、考えてみてください。

考えたら、先を読んでいいです(笑)。

僕は、この3つのブランド、まあ実際にはそれ以外の無数のブランドも併せてですが、

それらを調べていて3つの条件というものに気がつきました。

この3つを最低限満たしていないとブランドをスピーディーに作り上げることはできない。

そんな条件に。

それらを今からお話しするのですが、まあくどいんですけど、少しは考えてから読んでくださいね。

読んでるだけじゃ、脳みそクモの巣張りますから。

では、いきましょう。

最短最速でブランドを作るために必要な3つの条件。

まず一つ目に挙げられるのは、

圧倒的なファーストインパクト

です。

ポイントは、“圧倒的”というところ。

とにかく、どんなすごいブランドだって、初めて世に出てきたときは“新参者”。

周りからは

「どこの馬の骨が・・・」

といった懐疑的な目で見られているのが普通です。

もう少し厳密に言えば、

「試されている」

という感じでしょうか。

こいつなんぼのもんじゃい、という感じで、品定めされているのです。

ですから、そんな懐疑的なまなざしを一蹴するほどの、あざ笑うほどの

圧倒的なファーストインパクトが重要になるわけです。

唖然とさせ、茫然自失にさせることを目指す。

これが、極めて重要。

・・・というような話を以前あるセミナーでしたことがあるんですが、そのときに

「私はメルマガの読者が毎日増えているのですが、その場合、

毎日が誰かしらの“ファーストインパクト”になるわけですよね。

そうすると、毎回120%の力で書かなきゃいけないということで、

それはさすがにちょっと苦しいと思うんですが、

そういった場合はどうしたらいいですか?」

って質問を受けました。

答えは、

「毎回120%の力で書いて下さい」

です。

なんつーか、もうはじめから手を抜こうとしている時点で、ブランドとかはできませんから。

ってか、それ以前の話でもあります。

と言うのも、毎日読者が増えている一方で、毎日読者は減っているから。

つまり、そのメルマガが、ある人にとっては最後のメルマガになるかもしれないわけです。

その、最後の時を、楽しく有意義に過ごしてもらうのか、


「中身のないメルマガだったな」と思って過ごさせてしまうのか、

その辺りに書き手の責任があるわけです。

何分かわからないですが、読者の時間をもらっている以上、その責任は重大だと思います。

僕は以前より「1時間で1000万円稼ぐ」と言ってきましたが、

その観点からいけば、僕に1時間使わせるということは、僕に1000万円以上の対価を支払わなくてはいけない、ということを意味します。

もちろん、金銭である必要はこれっぽっちもありません。

有益だったな、とか、すごく楽しかったな、とか、そういった実感の方が価値が高いですから。

それと同じことが、誰にでも言えます。

僕は、時間の価値というのを、たぶん他の人より重く見ていて、

例えばこの長ーいメルマガを読んでもらうのにかかる時間分以上の対価は提供しているつもりでいます。

毎回毎回120%の力で書いていて、手を抜こうなんて考えたことすらありません。

だから発行頻度が著しく低いんですが(苦笑)、

とにかくそのような気持ちでやるべきだと思うんですね。

勝手に相手の時間を浪費して、それでいて「でもお金は欲しいんです」とか、冗談は顔だけにしとけって感じですよ。

いつでも120%の力で情報を発信する。

いつでもファーストインパクトのつもりでやる。

ヴィトンやエルメスが手を抜いた微妙な商品出しますか?

そんなことしたら一瞬でブランドは崩壊してしまうんです。

ですから、発信していくものには、細心の注意を払う必要がある、と。

少し話がずれましたが、とにかくまず大事なのは、ファーストインパクトだということです。

そして次に大事なこと。

それは

ファーストインパクトを超え続けるための企画・制作力

これは今の話にもつながっているんですが、

いつも120%の力でクリエイションしているということは、

いつも前作を超えているということを意味します。

つまり、ファーストインパクトは最高なんだけど、毎回それ以上のものが出てくる。

毎回世界記録が更新される。

そんなイメージを、相手の頭の中に作り上げる必要があるのです。

これにより、いつでも頭の片隅で覚えていてもらえるのですから。

ガリアーノは、毎回あっと驚くような服をデザインしてきます。

フランクミュラーは、毎回世界中の時計ファンを驚かせる機構を作り上げてきます。

ロジェデュブイは、驚くべきスピードでキャリバーを開発し、

斬新極まるデザインを組み合わせて時計関係者を驚かせてきました。

「毎回」というところがポイントなのです。

一回すごいことをやって終わりではない。

常にすごいことをやり続けることが、極めて大事です。

僕の好きな言葉に、

Next one.

という言葉があります。

これはチャップリンが

「あなたの作品で、最高だと思うものはどれですか?」

という質問に答えた、その答えです。

「次の作品だよ。」

これは、そうそう言えないと思います。

高校のときにこの言葉を知ってから、ある意味で座右の銘に近いポジションを占めているこの言葉。

たった2単語ですけど、すごい深いです。

さて、ではいよいよ最後の条件にいきましょう。

ブランドを最速で作る最後の条件は、

市場のニーズ(時代)を的確に汲み取る(読み取る)察知力

になります。

ガリアーノの話を思い出してください。

彼は、セントマーチンズの学生だった頃から業界が注目する“天才”でした(実際、彼は主席卒業です)。

しかし、デビューして10年くらいは、鳴かず飛ばずで人一倍苦労していた。

それはひとえに、彼の感性と時代の感性が合致しなかったからと言うことができると思います。

つまり市場のニーズを、時代性を読み取り、それを作品に反映することができなかったからなんですね。

天才でさえそうなのですから

(天才だから時代と乖離してしまったとも言えるのですが)、

我々のような凡人は、より意識して市場や時代というものの流れ、動きに目を凝らしておく必要があります。

あくまでもその時代の枠組みの中でブランドを築き上げるのですから、そこを無視してブランド確立はありえません。

この「察知力」がないと、デビューして間もないガリアーノのようになってしまいます。

まあ、それはそれで重要な体験だとも思いますけれど、

あんまり打たれ強くない僕としては、避けたいかな(笑)。

マッチョな天才肌であるという自信があるなら、是非どうぞ。

以上が、僕が考えるブランドを最短最速で作る3つの条件になります。

1.圧倒的なファーストインパクト
2.それを超え続ける企画・制作力
3.時代を的確に読む察知力

この3つを満たすことが、カギなんではないかな、と。

中途半端なもので登場し、微妙なものを発表し続け、独りよがりで時代も何も考慮していない。

こんなのがブランドになるかといえば、到底無理だという感じがしませんか?

ブランドっていうのは、ある意味で花粉症みたいなもんだと思います。

心の中で一定の水準を超えたときに、初めて確立する。

その確立ポイントが100だとして、

1から順に一歩一歩いくのか、

それとも80から初めて(圧倒的なファーストインパクト)

二歩でいくのか(企画・制作・察知力)、その違いです。

早くブランドを確立しようとすればするほど、

スタート位置(ファーストインパクト)と成長の歩幅(企画・制作・察知力)が重要になってくるんですね。

ブランディングって、いろいろ複雑に語られるところですけど、

個人的には、シンプルなものの方が実践的だし理解しやすいし「偉い」と思っています。

今回の話がシンプルに感じてもらえたかどうかは僕の筆力によるところが大きいと思うんですが、

ま、一言で言ってしまえば

気楽に考えて、死ぬ気で楽しく仕事しようよ

ってことですよ(笑)。

今回の記事が、何かそのお役に立てれば幸いです。

〜ここまで〜

特にブランディング構築に関連する、セールスレターやステップメールの作り方について解説された以下のセミナーに関しては

このメルマガの内容はすごく重要な話になっていると思います。