地震に関してその1“The Art of Prediction”~神様セミナー~当時の振り返り

2011年3月13日発行

件名:地震に関しまして。

こんばんは、木坂です。

僕はあまりこういうメールは流さないのですが、
今回は事態が事態ですので、例外的に。

まず、僕なんかに心配のメールを送っていただいた方、
本当にありがとうございます。

僕は東京にいますが、地震そのものの被害は
なにも受けておりません。

東京は、交通がマヒし、食料が買いにくくなったくらいで、
震源地に近い地域の惨状に比べれば、何でもありません。

こういう仕事をしていると、全国に知人ができ、
当然今回中心的な被害を受けている宮城や岩手にも知人がいます。

僕と一度でもメールしたりしたことがある方で、今回の
被害を中心的に受けている地域に住んでいる方、
もし余力があれば、一報くださいませ。

安心いたします。

面識が皆無の方でも、なぜか、安心しますので、
気が向いたらメールください。

被災地の方々と直接連絡が取れる方は、
できる限り、励ましてあげるようにしてください。

こういうとき、人間は僕らが考えられる範囲を超えて、
不安の底に落とされているものです。

何気ない一言が、何でもないメールが、ひとつの命を
救うこともあります。

今回は、地震を通して、いろんなことを、
できるだけ短く(これが難しい)、お話ししたいと思います。

勉強というわけではありません。

今後のための、心構えです。

時間がないので、推敲なし、乱筆乱文になると思いますが、
ご容赦を。

ではでは、早速いきましょう。

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目次

1.地震の際に重要なこと。

2.今後について。

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1.地震の際に重要なこと。

とりあえず、今後避難の可能性がある地域の人は、
底の厚いスニーカーを、いつもそばに置いておいてください。

履いていてもいいかもしれません。

阪神や新潟を中心として、大型の地震を経験した人たちに聞くと、
みんなこう言います。

靴、水、ご飯。

あとは、今回は寒い時期の東北ですから、暖をとるものが、
極めて重要になっていると思います。

ですから、暖をとるものは用意しておいてください。

最後に、これはあとで説明しますが、一部地域の人は、
高機能マスクがあるといいと思います。

備えあれば憂いなし。

大きな地震の後は何度も大きな地震が来ることが、
歴史的に証明されています。

油断せずに、しばし備えておいた方がいいでしょう。

とりあえず、具体的なものは、これくらいで。

ここから少し悠長な話になります。

今回の地震があった時、僕は自分の事務所にいまして、
ご多分にもれず、それなりに驚いたわけですが、その時は正直、
ここまでの被害は想定できませんでした。

今のところ、死者1000人超えか、と報道されていますが、
最終的には、阪神を超えると思います。

下手したら、1万人規模かもしれません。

それだけの規模なのです。

BBCでもCNNでも、海外のメディアはこぞって日本の対応を
称賛していますが、それは、規模だけで言えば、20万人以上の
死者を出したハイチの地震を上回ると言われているからです。

まだ全体は明らかになりませんが、宮城や岩手など、
街の一つや二つ、消えていると思います。

そういう、未曽有の事態なのだと、まずは認識すべきです。

この期に及んで、政府批判をしたり、火事場泥棒としての
中国を警戒したりしているアホがいますが、そういう事態ですら、
ないのです。

我々が選んだのは民主党であり、我々の首相は菅直人なのです。

足を引っ張っている場合ではありません。

政権批判は、暇な時にやるものです。

今は、一人ひとりが、やれることを、やるべきときでしょう。

先にも言いましたが、僕自身は大きな地震を経験したことは
ありませんが、大きな地震を経験した友人知人がたくさんいます。

また、大学での専攻内容もあり、紛争地域に、人間の盾とかに
なりに行っちゃう人や、国連やNPO・NGOで国際平和活動に
従事している人も結構知り合いがいます。

彼らが言うことで共通していることがあります。

「感情に流されて現地に来られても邪魔なだけ」

です。

言葉はきついですが、真実だと思います。

僕などは、割と現地に行きたがるタイプで、
何かできるんじゃないかと、思ってしまうのですが、
現実はシビアです。

僕なんかが行っても、邪魔になることはあっても、
役に立つことはない。

人間としても役に立たないし、僕が行くことで、
例えば道路に一台車が増え、食べ物や飲み物が減り、
スペースが減る。

そういういろんな理由で、邪魔なのです。

だから僕は、宮城に行かず、こうしてメールを書く選択をしている。

東京も決して安全なわけではないのですが(詳しくは後述)、
東京に残り、メールを書いているわけです。

人には、必ずやれることがあり、やるべきことがあります。

それをやること、自分の能力を開花させること、それでもって
世界をよりよくすること、そのための関与をすること、それを
アリストテレスは「エネルゲイア」と呼び、

「善というのはエネルゲイアのことである」

と断言しています。

僕はこの見解に、おおむね賛成しています。

僕には、僕にしかできないことがあり、僕が今すべきことがある。

それと同じように、人間誰しも、その人にしかできないことがあって、
今すべきことがあるのです。

僕は、宮城に行くのも、外国に逃げるのも、今僕がすべきことではないと、
判断しています。

たくさんの方に、東京脱出、あるいは日本脱出を勧められました。

その中には、ある意味で「関係者」と呼ぶべき人もいて、
実際にかなりまずい状況になりうる状況であることが、
理解できました。

現在東京はなんとなくのほほんとしていますが、実際には、
そういう状況なのです(不安を煽りたいわけではなく、事実を
書いています)。

その中で、まず僕がすべきはこのメールを書くことであり、
個人的にいただいたメールへの返事であり、数日後の
セミナーを滞りなく開催することなのだと、判断しています。

判断が正しいか間違っているかは、いつも歴史の審判に
委ねられますが、しかしながら重要なのは、

「判断しなければ、歴史にすら残らない」

ということです。

各自、やれること、やるべきこと、考えて、
歴史の中の存在であることを自覚して、やってください。

何となく、他人事な人もいるかと思いますし、
東京にいて、そんな空気をひしひしと感じますし、
ほとんどの人は、極めて楽観的ですが、何事も
バランスが大事です。

バランスをとった上で、判断してほしいと思います。

2.今後について。

まず結論から言えば、関東地方より東側は、かなり「危険」だと、
僕は思います。

「危険」というのは、まさに「可能性」のことであって、
確定している危険ではありません。

また、実を言うと、この「危険」は、この地震とは関係なく、
もともとある程度存在していたものでもあります。

しかし、危険は危険ですし、地震によって危険度が増したことも、
また事実です。

僕は、よほどのことがない限りは、東京を動きませんが、
どうしても安全を確保したい人は、大阪よりも西へ行くか、
できれば海外に行った方が、いいと思います。

時期は、早ければ早いほど、いいです。

政府が

「もう無理です、逃げてください」

と発表してからでは、パニックになりますので、無理でしょう。

逃げる理由は、地震というより、原発です。

海外のメディアを見ていると、報道の半分が津波、
半分が原発で、特に危険を感じているのは、原発でして、
さすがだなと思わせられます。

(日本のメディアではミクロな情報を、マクロな情報は海外の
メディアから、というのがバランスがとりやすいと思いますので、
情報収集をしている人は参考にしてください。)

津波に関しては

「オー、コワイネー、ヒドイネー」

という感じなのですが、原発に関しては、ものすごい
危機感が伝わってきます。

それは、いくつかのトラウマがあるからでしょう。

実際、先ほど、福島の病院で任意検査した人全員が、
被曝していたと報道されました。

端的に言えば、そういう事態なのです。

メディアでは、炉心溶融が始まったと、報道されています。

政府発表は、福島第一原発の半径20キロメートル、
第二原発の半径10キロメートルが避難地域ですが、
本格的に炉心溶融が始まれば、その10倍は被曝するとみて
間違いないと思います。

歴史的に、この手の原発事故というのは、
半径300キロくらいは被曝していますので。

ただ、公平を期すために、一応指摘しておきますが、
現在起こっているのは、厳密な意味での、炉心溶融
(メルトダウン)ではありません。

いたずらに危機感を煽る人がいろいろいるようですが、
「本格的には」まだ始まっていません。

そしてそれを防ぐために、今現在も、自らの生命を賭して、
必死に作業をしている人たちがいます。

だからこそ、我々は

1.今のうちに、逃げる
2.いつもと同じ生活を送る

という二つの選択ができるのです。

そういう人たちの努力と、健康と、場合によっては命を、
全て無にするかのような発言は、僕は感心しません。

僕は太古の昔から、地震大国日本を原発大国にするなんて、
一体どういうキチガイの所業なのだ、と言ってきましたが、
本当に恐ろしいことを、日本はやっています。

耐震設計はバッチリです、というのは、大ウソです。

原発はクリーンエネルギー、というのも、どこから出たのか、
嘘にも程があります。

その辺は、各自で調べてほしいのですが、とにかく、
現状福島、宮城、静岡、この3県にある原発は、
平素より、極めて危ない状況であると、僕は判断しています。

ひとつだけ例を挙げます。

例えば、新潟中越沖地震の時、柏崎刈羽原子力発電所が
少し問題になりました。

ここの3号機タービン建屋1階では、安全設計の想定は
加速度834ガルでしたが、実際には2058ガルを
計測しています(想定の2.5倍)。

この時の震度は、6です。

今回は、7(以上)です。

また、世界一危険な原発と言われることもある静岡の
浜岡原発ですが、ここの安全設計の想定は、3号炉と4号炉で
600ガル、1号炉と2号炉に至っては、450ガルです。

しかも築が相当古い。

もし、今回の規模の地震が静岡の付近で起これば、
ほぼ間違いなく、大変なことになると思います。

まずいことが起こった時、関係者が言うのは

「想定外だった」

「前例がなくて」

「史上初めての」

などの言葉です。

そんなに前例があったら、そもそも原発なんて
作らないのではないか。

自然の前では、人間など、あまりにも無力なのだということを、
改めて確認しつつ、そもそも「ばっちり安全です」などということは
あり得ないのだと、認識してください。

科学というのは、その程度のものです。

科学の恩恵を受けたいなら、科学について知らなければならない。

本格的な炉心溶融が起こった時(原子炉がぶっ壊れたとき)、
重要になるのは風向きですが、多分、本当にそうなれば、
そんな悠長なことを言ってる暇もなくなると思いますので、
絶対被曝したくない人は、なるべく早くに決断して、
逃げた方がいいと思います。

僕はそれを「浅薄だ」「ヒステリックだ」などと否定しません。

原発というのは、何もない時でさえ、細かい事故を、数えきれないほど
起こしているのです。

毎日毎日、誰かが僕らの代わりに被曝しています。

ですから、選択肢の一つとして、さっさと逃げる、というのも、
当然考慮されるべきだと思います。

最低でも関西より西、できれば沖縄、もしくは海外、です。

もちろん、何事も起こらない可能性だってあります。

チェルノブイリでのトラウマがあるロシア。

そこの核物理学研究施設クルチャトフ研究所のベリホフ所長は

「日本の原子炉は近代的なタイプ。核分裂は制御され、
(放射性物質を含む)蒸気が排出される可能性があるにすぎない」

として、放射性物質が大量に漏れることはないとの見解を示しています。

ロシア非常事態省も

「(日本の原発の)状況は一貫してコントロールされている。脅威はない」

と声明を出しました(共同)。

そういう分析をしている専門家もいる、ということです。

また、今現在も、圧倒的被曝をしながら、我々日本国民のために、
自らの未来を省みず、現場で作業にあたっている尊い人たちが、
たくさんいます。

彼らの未来は、事実上真っ暗でしょう。

それを知ってか知らずか、作業をしてくれている。

もっとも、原発で働いている人たちや、原発の近所の人たちと
いうのは、こういう事態ではなくても、ほぼ被曝しているのですが、
そういう尊い犠牲の上に、我々の生活は成り立っているのだと
いうことを、我々は今こそ感謝しなくてはいけない。

彼らは、今まさに、エネルゲイアの真っ最中なのです。

その他にも、救助に関わる人たちが、数えきれないほど、
います。

彼らにも、家族はあるでしょうし、死にたくはないでしょう。

でも現地へ行って、誰かのために、活動をしているのです。

顔も知らない、名前も知らない人のために、命をかけているのです。

その彼らの頑張りが、天に認められるかもしれない。

そうすれば、日本はとても幸運なことに、被曝の悲劇から、
救われます。

東京壊滅による、ハイパーインフレも、免れるでしょう。

どう転ぶかは、わかりません。

僕個人は、今現在行われている作業、例えば海水を
原子炉そのものに大量に注ぎ込む作業や、ホウ酸を注ぎ込む
作業などですが、それらが、うまくいくことを信じています。

それは文字通り「信じて」いるだけであって、根拠はありません。

単なる希望ですから、仮にうまくいかなくても、それはそれ、
という感じです。

ちなみに、この海水を注入する作業というのは、かなり珍しい
作業であって、珍しいということは、それだけ珍しい事態に
なっている、ということを意味します。

僕のように、そこまで知って、東京に残るという決断をするなら、
それもまたいいと思います。

そういう人たちがいるのに、自分の未来、家族の未来を
犠牲にして、僕らのために必死に作業をしている人たちがいるのに、
自分だけ安全な所に逃げるのはどうだろうと、不思議なことに、
思ってしまうのも、いいと思います。

残る場合、最低限、高機能マスクと、1週間程度は完全に
屋内に引きこもれるだけの準備をしておきましょう。

引きこもることになった場合、木造の家は、避けた方がいいです。

可能なら、RC構造の建物に。

できる限りの準備をして天命を待つのが、正しい態度です。

何もしないのは、ただの「悪」でしょう。

守りたい人がいる場合は、よくよく話し合って、
決断してください。

人の命は、自分一人の命ではありません。

死ぬのは勝手、ではないのです。

ではでは、今回はこの辺で。

もしまた何か重要な進展があれば、メールするかもしれません。

ありがとうございました!

木坂

追伸:最後に判断するのは、自分です。

僕は楽観視もしていませんし、悲観視もしていません。

安心感を誘う文章を書こうとも思ってないし、
危機感をいたずらに煽ることも避けたいと思っています。

僕自身は、どう転んでも受け入れるつもりです。

さっき数ヵ月ぶりに和佐君と電話しましたが、
結局

「死んだら死んだで、それまでだよね」

という結論でした。

あまりよくない結論ですが、ときには、
こういう人がいてもいいのかなと、自分を説得している
今日この頃です。

皆さまにおかれましては、できる限り、生き延びる方向で、
お願いします。