地震に関してその3“The Art of Prediction”~神様セミナー~当時の振り返り

2011年3月16日発行
タイトル:木坂です。地震に関してその3

こんばんは、木坂です。

セミナーから帰ってまいりまして、
メルマガを書いております。

思ったより何の進展もないようなので、今回はまず
明るい話題から。

人口1万7000人のうち、1万人以上と連絡が取れていなかった
宮城県南三陸町で、全人口の半分以上に当たる9700人の生存を
確認した、と。

これは本当に良かった。

まだ約7000人とは依然として連絡が付いていないと
報道されているので、諸手を挙げて喜ぶことはできないけれど、
久々の明るいニュース。

あの津波の破壊力を映像で見てしまったら、飲み込まれて
生き残るなんてことは、到底想像できない。

でも、こうして、励まし合いながら、生きている人たちも、
たくさんいるのだということがわかりました。

海外メディアがこぞって「奇跡」と絶賛する日本の
災害(特に地震)対策能力は本当に素晴らしい。

残りの人たちも、一人でも多く救出されることを
祈るばかりです。

さて今回のメルマガでは、実際にどの程度の放射線を
どの程度浴びたら大変なのか、ということを中心に、
その他諸々の話をしたいと思います。

メールでも質問が来ましたし、セミナーでも結構聞かれたので、
やはり実際のところどうなのよ、ということが気になるのかなと。

例によって、誤字脱字、日本語の不備、今回の場合は計算ミス、
もしあれば、ご容赦を。

早速いきましょう。

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目次

1.どのくらいの放射線を浴びたら危険か。

2.その他追加の情報。

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1.どのくらいの放射線を浴びたら危険か。

3月15日、東京では、新宿で放射線の量がいつもの20倍を
検出したり、埼玉で40倍を検出したり、ということが
まことしやかにニュースになりました。

おそらく福島原発のものが飛んできた、ということで
間違いないと思いますが、政府やメディアがしきりに言っている

「人体への影響はない」

というのは、とりあえず本当だと思って大丈夫です。

嘘臭くて仕方ないですが、数字が本当なら、本当です。

東京大学が、柏や本郷、駒場などの各施設で独自に放射線量を計測して
いますが、いずれもほぼ平常値であって、3月15日午前11時の
本郷キャンパスで平常時の約3倍(毎時0.25マイクロシーベルト)を
計測しているとは言え、前回のメルマガでも言った通り、
CTを一回撮れば、約7000マイクロシーベルトです。

普通の胸部レントゲンでさえ、1回撮影して50マイクロシーベルト
ですから、毎時0.25マイクロシーベルトがいかに微量であるかは
わかると思います。

茨城県では、平常時の100倍の放射線が、と報道されていますが、
それでも毎時5マイクロシーベルトです。

仮に、平常時の100倍の放射線を、10時間アホみたいに浴び続けても、
胸部レントゲンを一回撮るくらいの、被曝だということを、まずは
冷静に理解してください。

普通に生きているのであれば、「100倍!!!」などと
ビックリする必要はありません。

新宿で計測された毎時0.809マイクロシーベルトという数字は、
確かにいつもの20倍以上かもしれませんが、それでも60時間
連続で浴び続けて、例によってレントゲン一回分です。

そういう数字ですから、○○倍、という言い回しにいたずらに
反応しないようにしてほしいと思います。

そして、人体への影響があるのはどのくらいからか、という問題ですが、
最低で毎時100ミリシーベルト、もしかしたら毎時250ミリシーベルト、
と言われています(100ミリシーベルトとは、当たり前ですけれど、
100000マイクロシーベルトです)。

言われている、というのは、要するにこれ以下の被曝で、治療が
必要になったケースが報告されていない、という意味です。

なので、小さい子供や、妊婦さんなど以外は、ほぼ問題ない
値だと思って間違いないと思います。

250ミリシーベルトとは、レントゲンを、連続で5000枚
撮る値、つまり昨日の新宿で30万時間(=35年くらい?)ですから、
相当頑張らないと、被曝できません。

しかも、そんなに頑張ったのに、おそらくは、治療の必要がない
被曝量だということです。

ネット上で、妙に焦っている人が散見されますが、
少なくとも数字的には、こういうイメージですので、
今の段階でアワアワする必要は全くないと思います。

しかし、何度も言っているように、発育が盛んな若い人や、
妊婦さん、あるいは将来子供を産みたい女性などは、
浴びないに越したことはありません(さらに詳しくは後述)。

「症例の報告がない」というのは、「だから安全です」という
ことではなく、単に「前例は今のところありません」ということを
意味しているにすぎないからです。

「何かあってからでは遅い」と僕が言っているのは、そういう意味です。

ちなみに、各地で計測された放射線数値は、
東電の福島原発をはじめ、随時ネットでも更新されています。

テレビなどを見て変に煽られるよりは、よほど冷静に
見ていられる数字が並んでいると個人的には思います
(それ以前に、できるだけ報道ではなく、一次資料に当たる
習慣を大切にしたいところです)。

あと、専門家の人に聞くと、平常時でも、1日の中で放射線の値が
数倍変化することはあるらしく、それ自体はそんなに珍しい
ことではないとか(とは言っても、例えば100ミリシーベルトが
突然500ミリシーベルトになったりはしませんが)。

というわけで、現時点での放射線量を考えると、特に首都圏で焦って
アワアワする必要はないと言えると思います。

先に言った、子供、女性を中心に、念のために避難しておくのもアリだと、
僕は思いますが、それは僕が慎重派であり、そして何より、今後の
日本復興と日本の未来を一番重視して考えているからです。

肝心の原発の様子があまり明るみにならないので相変わらず
確かなことは何も言えないのですが、東電が公開している
モニタリングのデータだけから判断するに、今のところ放射線は
ある程度落ち着いていると思いますし、急にキノコ雲が発生して
チェルノブイリにでもならない限り、首都圏で大きな被害が
出る可能性は極めて低いと思います(これも詳しくは後述)。

ただ、当たり前ですが、福島の原発を中心として、周辺は極めて
深刻な事態です。

2.その他追加の情報。

今回もまた、必要と思われる情報を、独断と偏見で、
書いていきたいと思います。

いただいた質問で、多かったものにもお答えいたします。

ただ、当たり前なのですが、僕は原子力を専門に学んだことは
一切なく、それどころか、学生時代は理系ですらありません。

その辺を差っ引いて、参考程度に、お読みいただければと思います。

あくまでも、僕がどう現状を認識しているか、
ということの表現ですので。

(1)核爆発はあるのか?

これも言葉の定義の問題になるのですが、僕の理解では、
あるはずありません。

「核爆発」というのは、要するに原爆のようなものを
イメージしているのだと思うのですが、原発と、原爆は、
語感が似ているだけで、その原理が全く異なります。

別に、あの原子炉の中で、原爆がたくさん爆発して、
エネルギーを生み出しているわけではないのです。

そんなことは、ガリガリ文系の僕にでもわかることです。

と言いつつ完全に誤認だったら恥ずかしすぎるのですが、
それでも、原発で「核爆発」はないと、断言できると思います
(水素爆発や水蒸気爆発はこれからもある可能性が十分あります)。

(2)今回の事故はどの程度ひどいものか?

先のメルマガで言及した国際原子力事象評価尺度で言えば、
僕は現状レベル6に該当させてもいいと思います。

7はチェルノブイリ、スリーマイルは5です。

単純に比較はできないですし、きっとレベルの認定にも
様々な基準があると思うのですが、僕の「感覚」としては、
この間の、6という感じです。

ただひとつ言っておきたいのは、スリーマイルというと、
チェルノブイリに次いで大きな原発の事故だよね、という
認識な人が多いのですが、確かに「大変な」事故ではありましたが、
事故としては、つまり一般人への影響という意味では、事故の重大性に
比して、実は被害はものすごく小さいのです。

スリーマイルについては意外なほど誤解している人が多いので、
各自で検索して、少し調べてみることをお勧めします。

(3)首都圏は、ヤバいか?

ヤバい可能性は、あります。

だから何度も言っていますが、被曝がどうしても嫌なら、
関西より西へ一時的にでも非難するべきだと思います。

それが「保険」であり「危機管理」だからです。

そしてそれは、保険商品としては、十分プラスであると、
判断しているわけで。

でも僕は、よほどのことがない限り、東京にいると思います。

別に東京にこだわりがあるわけでも、愛着があるわけでも、
楽天的に考えているわけでもありません。

うまく説明できないのですが、何となくです(いや、ホントは
違うのだけど)。

今日セミナーで、

「木坂さんは、どのくらいになったら東京から逃げますか?」

と聞かれました。

判断基準によりますが、現在の状況でも、条件がそろえば、
例えば僕が

・今妊娠している
・仕事はフリーランスで場所に制約がない

などの条件を満たせば、十分逃げると思います。

だって、何もなければ、帰ってくればいいだけだし。

ただ今のところ、条件がそろわないだけです。

加えて、都市への電力供給のための、平素はある意味で犠牲と
なってくれている地方に対し、普段は山ほど電気を使っておいて、
いざこういう事態になったらその都市を捨ててさっさと逃げる、そして
おそらく事態が収束したらしれっと戻ってきてまた電気を山ほど使う、
というのは、何というか、気分的に、優れない。

そんな、見方によってはしょーもない理由です。

現状、首都圏が抱えるリスクで主なものは、

Ⅰ.福島原発がチェルノブイリ化する可能性

Ⅱ.東海地震との連鎖

Ⅲ.富士山噴火とのコンボ

Ⅳ.東京大地震(+津波)

この4つであって、どれも可能性はそこまで高くないと思いますが、
その高くない可能性が現実になった時、首都圏は限りなく
ダメージを受ける。

そう判断しています。

今回の津波は1000年に一度のクラス、と言われていますが、
そういうことが「想定内」であるはずはなく、しかし現実には
起こる。

(※「想定内にしておくべきだ!」と怒っている人がいると思いますし、
僕も感情的にはそう思いますが、現実的には、難しいと思います。
それが文明社会、そして何より、資本主義を採用している国の
限界です。セミナーに出た人は、意味がわかると思います。)

その「想定外」に備えるのが危機管理であり保険ですから、
可能なのであれば、かけておいた方が、いいと僕は思うのです。

(4)福島原発は、チェルノブイリ化するか?

これ単独で見た場合、ゼロではないでしょうけど、可能性は
限りなく低いと思います。

もっとも僕は原発の設計もできないし、原理にも明るくないですが、
それでも、チェルノブイリとは、異なる点が多すぎて、
単純に同じになるとは、思えないのです。

例えば原子炉の構造で見た場合でも、チェルノブイリには、
驚くべきことに、格納容器がありませんでした。

この時点で、もう全く違うと、僕は思います。

ネットでいろいろ見ていたら、以下のような文章を見つけました。

それなりに名前のある人が大きなメディア向けに書いた文章です。

「(容器内の水位が下がり燃料棒がむき出しに)なれば、
超危険な放射性物質が溶け出し、燃料棒の集合体が溶け落ちる。

それが炉心熔融であり、メルトダウンと呼ばれる。

燃料棒の集合体が次々に溶け落ちると、炉の底にたまって、
ますます高温になり、灼熱状態になる。

やがて原子炉圧力容器の鋼鉄を溶かし、お釜の底が抜けると、
すべての放射性物質が、外に出て行く。

これが「チャイナ・シンドローム」と呼ばれる現象である。」

例えばここで書かれていることは、ほとんど(おそらくは意図的な)
事実誤認です。

まず、炉心溶融の定義が違います。

次に、圧力容器を溶かすと全ての放射性物質が外に出ていくというのは、
二つの意味で間違いです。

ひとつは、圧力容器の外には格納容器があるということ(それがないのは、
チェルノブイリです)、そしてその格納容器をも溶かしたとしても、
「全ての」放射性物質が外に出ていくわけではありません。

それをさせないために幾重にも防御網がありますし、それが全て
機能しなくても、「何もしないで放置」しない限り、「全ての」
放射性物質が外に出るということはないのです(もちろん、「多量の」
放射性物質が外に出ることは間違いありませんが)。

こういうのを、僕は「いたずらに不安を煽るだけの文章」と
呼んでいます。

その他「炉心爆発」などという言葉を使う人もいるようですが、
それは一体、どういう原理で起こるもので、どういう現象を
指示しているのか。

怖いのはわかるし、実際危険だし、深刻な事態なのだけど、
必要以上な不安を周りにばらまくのだけは、やめてほしいと思います。

みんなが冷静に、自分の頭で考えて、判断できるわけではないのだし、
特に被災地は、食べ物も、水も十分でなく、電気もガスも水道も止まり、
家族の安否も確認できず、土地は荒廃し、燃料の供給も滞りがちで、
加えて真冬並みの寒さと連日連夜闘っているわけです。

雪すら、降ったそうです。

明日の朝陽が拝めるかもわからない状況の中、寒く、衛生状態も悪く、
暗い、そういう極限ギリギリの精神状態の中で、突然

「外に出たらもう終わりですよ!核爆発でチェルノブイリですよ!!」

などと煽られたら、どうなるか、そうやっていたずらに不安を
煽っている人たちは、想像したことはあるのでしょうか?

こういう不安を煽る輩が多く、石油を被災地に運ぶための
タンクローリーの運転手が、運転を拒否していると言います。

半径30キロメートルより外の、被災地に行くにも関わらず、です。

それがどれだけ深刻な二次被害三次被害をもたらすか、考えたことが
あるのでしょうか?

危険なことは間違いありません。

深刻な事態なのも間違いありません。

しかしそれを極力、現実に即した形で、つまりできる限り
装飾することなく、伝えようとする意識が、何かを発信する人間に、
最低限課せられている責任であり、マナーであると思うのです。

現場では、800人体制で、作業が進められていると聞きます。

東電各地からの応援も、志願制です(定年間近の人たちが中心に、
志願して、日本の未来と、原発の未来のために、福島に入っていると、
一部報道されています)。

一人が浴びることのできる放射線量は法律で決まっていますので、
おそらく信長の鉄砲隊のように、順々に作業員を入れ替えて、
それもきっと1分とか2分とかで入れ替えて(それだけ放射線の
数値が高いということです)、必死に作業を継続している。

一度入れ替わった作業員は、年間被曝量を超えているわけですから、
その現場に戻ることは、もうできません。

つまり、人員が、ものすごくタイトな中、それでも手を休めることなく、
各々が、できることを、頑張っているのです。

また、一基でもメルトダウンしたらもう作業員も全員逃げ出すから、
チェルノブイリ化は避けられない、ということを言っている人も
いるようですが、僕はそうは思いません。

きっと、逃げないで作業をしてくれる人がいるし、もし本当に
全員が逃げるなら、(役に立つかは別にして)僕が行ってもいいと
思っています。

そして、そういう気持ちの人は、少なくないはずです。

日本は、そういう国だと、僕は信じています。

みんながみんな自分が可愛いがために逃げ出すような国なら、
ここまでの国になるはずがないじゃないですか。

(5)首都圏がヤバくなるとき。

こういう事態のときは、いろんな見解が飛び交い、
混乱します。

ですから、まずは少し時間をとって、冷静に、ひとつひとつ、
順々に考える必要があります。

まず最悪の事態は、福島、宮城、静岡の原発が全て
チェルノブイリ化して、東海大地震、東京大地震が起こり、
津波が襲ってきた挙句に富士山が噴火する、という
無限コンボ的なケース。

これが確率的にどの程度起こりうるのか僕には算出する術が
ありませんが、きっと、もうそれはゼロでしょう、というくらい
小さな値になってしまうと思いますので、ここでは検討しません
(大丈夫だ、そんなことは起こらない、と言っているわけでは
ありませんよ)。

ここでは、話をわかりやすくするために、福島原発に限って、
お話しします。

平たく言えば

「福島の原発がどうなったら首都圏がヤバいのか」

ということを考えてみる、ということです。

それは、一言で言えば、

「チェルノブイリ化した時が一番危険度が増す」

ということになると思います。

なぜかと言えば、単純な話、流出した放射性物質が、
首都圏の方まで届かないといけないわけで、例えば
「極めて強い放射性物質」を含んだ水が施設の外に
流れ出たところで、その土地の被害は極めて甚大ですが、
首都圏までは、これるはずがないからです。

ということは、ある種の爆発を伴って、放射性物質が、
できるだけ高い上空に舞い上げられて、風に乗って、
黄砂のようにやってくる必要をまず満たさないと、
首都圏が直接的に危険になることはないということです。

(※何度も言いますが、この事故自体は極めて深刻で、
地元の放射線被害は、甚大だと思います。ここではあくまでも、
首都圏の放射線被害に限って話をしています。)

このことをできるだけ正確に議論するために、今まで
避けてきた概念上の区別を、ここで導入します。

と言っても別に何か難しいことではなく、既にこのメルマガでも
(しれっと)導入している区別なので、気が付いた人もいるかと
思いますが、「放射線」と「放射性物質」という区別です。

今まで僕は「放射線」という概念を用いて説明してきましたし、
報道も基本的にはそういう形になっていると思いますが、
首都圏の「危険」を考えるならば、放射線という概念だけでは、
捉えきれなくなります。

「放射線」とは、「放射性物質」が発する電磁波や粒子線のことです。

そしてついでですが、「放射能」とは、放射線を出す能力、
つまり放射性物質が持っている能力のことを指します。

その意味で、「放射能漏れ」などという日本語は
本来おかしいのであって、一体漏れたのは「放射線」なのか
「放射性物質なのか」をはっきり報道すべきだと、僕は
思います。

まあそれはともかく。

東京を中心とした首都圏の「危険」を考えた場合、
真に問題となるのは、放射線ではなく、放射性物質です。

いや、「被曝」と言った場合は放射線を浴びることを
意味するのですが、例えば福島原発正門で観測されている
「シーベルト」という単位であらわされている放射線それ自体は、
首都圏にはまず間違いなく影響はありません。

というのも、放射線は、距離の2乗に反比例して薄まりますし、
中性子線以外は、コンクリートなどの物体で容易に遮蔽されるからです。

「距離の2乗に反比例して薄まる」というのを具体例で説明しますと、
例えば原子炉で放射性物質(以下、「線源」)が放射線を
出したとします。

そこから1キロメートル離れた正門で、今日の最大値である
10ミリシーベルトの放射線が観測されたとします。

とすると、10キロ離れたらその放射線は10の2乗に反比例するので、
100分の1、100キロ離れたら10000分の1、東京は200キロ以上
離れているので、40000分の1以下になるということです。

10ミリシーベルトは10000マイクロシーベルトですから、
その40000分の1で、0.25マイクロシーベルトになります。

しかもこれは、何にも遮蔽されず、そのまま全てが突進してきた場合の
数字ですから、実際には、山あり谷あり建造物ありで、事実上、
首都圏までは届かないでしょう。

ですから、福島原発で観測されている放射線それ自体は、
首都圏に影響はほぼ皆無だと、考えていいと思います。

ところが、放射性物質となれば話は別で、首都圏の人にも、
関係が出てきます。

原発から流出した放射性物質(線源)が、何らかの理由で
東京上空に飛散したとします。

すると、極めて近い距離からその線源が発する放射線を
浴びることになりますので、影響が出る可能性がある、
というわけです。

そして何より危険なのはその線源自体を吸いこんでしまう、
内部被曝です。

ものすごい簡単に言うと、その線源が放射線を出す限り、
被曝し続けるのが、内部被曝ということになります。

これが、危ない。

(※念のために言いますが、外部被曝も、内部被曝も、
しかるべき治療法が、それなりに確立しています。で、
メディアやネットで言われている「○○シーベルトでこんな
影響が」というのは、治療しなかった場合の数字であることを、
ご理解ください。実際には、2000ミリシーベルトをくらって、
普通に治癒している人もいます。)

ですから、首都圏にいる人が考えるべきは、どちらかというと、
いかにして内部被曝を防ぐか、ということですし、僕が女性子供に
こだわるのも、ここに理由があります。

さて、内部被曝という観点から考えたとき、最も危険なのは、
大量の線源が、それこそ黄砂のように、火山灰のように、
首都圏に漂ってくることです。

これが、首都圏の放射線被害に関する限り、最悪の状況だと
思ってもらって間違いありません。

「漂ってくる」ということを、もう少し厳密に考えてみましょう。

線源が漂ってくるためには、

1.何にも遮蔽されないほど上空に舞いあげられる

2.首都圏の方に向かって吹く風に乗る

3.途中で墜落することなく、首都圏に届く

という3段階の条件を満たすことが必要です。

ということは、このひとつひとつを考えていけば、
どういう状況になった時、首都圏が危険になるかがわかります。

1に関しては、爆発の威力。

2に関しては、風向きと風速。

3に関しては、線源の重さ。

ざっくり言えば、こういう視点から、議論をすることができるでしょう。

すいません、一応20キロバイト程度で送ることを
心がけておりますので、今回はこの辺でひとまず送ります。

続きをできる限り早くに書いて、また送ります。

質問や感想などがあればこのメルマガに返信してくださいませ。

ありがとうございました!

木坂

追伸:首都圏の人は、現状、放射線ではなく、
地震の方をメインに警戒していてください。

首都圏が壊滅的になる可能性があるのは、(今のままであれば)
よほどこちらの方です。

ただ、くどいようですが、妊婦の人、若い女性、
子供など、放射線感受性の高い人は、放射線という視点からも、
諸々考えてほしいと思います。