地震に関してその4“The Art of Prediction”~神様セミナー~当時の振り返り

2011年3月19日発行
タイトル:木坂です。地震に関してその4

こんばんは、木坂です。

連日失礼いたします。

まず、比較的いただく質問に2つお答えいたします。

1.ブログなどで転載していいか?

ということですが、僕の情報が信用に足ると判断された方は、
ご自由に引用、転載していただいて構いません。

どうも客観性を欠く情報に踊らされている人が、僕が思っていた
以上におられるようなので、その方たちのお役にたてるようであれば
幸いに思います。

2.広島・長崎と今回の件に関して、質問がきています。

「60年以上前、広島と長崎に核爆弾が落とされたと思います。
それなのに、なぜ、現在の広島と長崎には、住民がいるのでしょうか?
核爆弾を落とされた直後は、その周辺にいた人は(距離はわかりません)、
被曝によって、即死したか、うめきながら、苦しみながら死んだと聞いています。
放射線の量って、60年程度で人が住めるほどまで、低下するのでしょうか。
僕は、300年たたないと、人は、住めないと聞きました。」

これに関して、僕は原子力の専門ではないので、
詳細な解説はできないのですが、簡単に言うと、
核爆発(原爆)は、核反応が全て終了する、つまり
核物質が燃え尽きるので、実は放射性物質はそこにほぼ
残りません(あと、核燃料自体も少ないはずです)。

なので、人が比較的すぐ住むことができます。

ところが原発の場合、核物質は燃え尽きず、かなり多量の核廃棄物が
そこに残るので、当然放射性物質もそこに残ることになり、
かなり長い期間人が住めません(使用済み燃料、というものが
存在するのもそのためです)。

ここが、前回のメルマガで「核爆発はないと思う」と言った根拠であって、
要するに原爆というのは、核反応を無制限に解放することにより
大爆発を起こし、原発は逆に核反応を制御することにより、
そのエネルギーを有効利用して発電を行うのです(また、当然ですが、
通常原発では大爆発を起こすための極度に濃縮された燃料を使いません)。

だから、仮に核反応が再び始まったとしても、原発で「核爆発」は
考えにくいのですが(前回も言った通り、水素爆発や水蒸気爆発などの
化学的な爆発は考えられます)、しかしこれは裏を返せば、燃え尽きない
核物質が大量に廃棄物として残るということを意味しています。

そもそも、原爆は「爆弾」であり、それはそこら一帯を
吹き飛ばすことに特化した「兵器」です。

その一瞬の破壊力のためだけに設計され、その一瞬の破壊力のためだけに
製造されています。

その一瞬に、全てのエネルギーが、余すところなく、爆発しきることが
何より望ましいのです。

しかし原発は、当たり前ですが破壊を目的としておらず、
あくまでもいかに効率よく熱エネルギーを発生させ、
発電するか、ということに特化して設計され、作られています。

一瞬で燃え尽きられても困るわけで、できるだけエネルギー効率よく、
できるだけ長い間、使いまわしたいわけですね。

その意味で、どちらも「核」を使うのですが、その実全く違う分野の
エキスパートなのです。

だから、短期的な被害(破壊)という意味では原爆、
しかし長期的な被害(放射能汚染)としては原発の方に、
圧倒的な軍配が上がることになります。

そのようなイメージでご理解いただければ、そこまで違わないと
思います。

(※ですから、広島・長崎の場合、より多くの死者を出したのは
被曝ではなく被爆です。さらに、破壊が専門の原爆では、数十万人が
死にますが、福島原発では、直接的にはせいぜい数十人だと思います。)

間違っていたら、すいません、専門の方、ご指摘いただければ
助かります。

あと、念のためにお断りしておきますが、これは「理屈」の
話であって、「本当はどうなっているか」に関して、僕は
この目と体で体験したことがありませんということを、
ご理解ください。

「理論・設計」と「実際」は、往々にして異なるものです。

さて今回のメルマガでは、前回の続きはもちろんですが、
「私は逃げるべきでしょうか」という僕に聞かれても完全に困る
質問がいくつか来ていることを勘案し、基準になりそうな
指標をひとつお話したいと思います。

相変わらずですが、誤字脱字、日本語の不備、もしあれば、
ご容赦を。

早速いきましょう。

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目次

1.逃げるタイミングを計る指針。

2.前回の続き。

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1.逃げるタイミングを計る指針。

一連の地震メルマガを配信しているためでしょうか、
「私はどうしたらいいでしょうか」とか「○○県なのですが、
安全でしょうか」などの質問が、ちらほらきます。

これらの質問に関し、僕が答えられるのは、
「僕ならこうします」ということと、「現状、○○県の数値は
こうですから、こうだと思います」ということだけです。

「僕ならこうします」は毎回メルマガに書いているとおりですし、
各県の数値は、リアルタイムで、ネットで確認することができます。

つまり、この手の質問に対し、僕が意味のあるお返事をすることは、
実際問題できないのです。

それは、良識的な専門家であっても同じ。

彼らは正しい知識を語ることはできますが、誰かの安全を
守ることはできません。

ですから、不安な気持ちは理解できますが、最後の判断は、
自分自身の人生です、ご自身でお願いいたします。

僕ができるのは、判断基準を、特に有効だと思われる
判断基準を、こうして提供するだけですので。

さて、今回もその基準の一つをば。

「いつ逃げるべきでしょうか?」などという全く答えようのない
(ある意味では毎回メルマガで答えている)質問もそれなりに
くるのですが、それを判断するために、これを見ておいたら参考に
なるよ、というものです。

それは、各国大使館の対応です。

各国の大使館は、日本に滞在している自国民の安全を
確保する責務がありますから、こういう事態になると、
極めて迅速に、また、ある程度余裕を持って、判断し、
指示を出します。

ですから、それをひとつの指針とするのです。

ここでは、3月17日時での、主要国の対応を載せます。

アメリカ:福島原発から半径80キロ圏内の在日米人に対し避難勧告。

イギリス:東京よりも西へ移動するように、勧告。希望者には、
帰国、あるいは香港行きの飛行機も手配。

フランス:関東を離れるように勧告。部屋の密閉を徹底するよう指示。
エールフランスに、「日本脱出便」を手配させる。

オーストリア:大使館自体を、東京から大阪に移動。

ドイツ:民間レスキューチームが急遽帰国。東京から避難勧告。
帰国も検討するよう指示。大使館自体も大阪へ移動。

ロシア:外交官全体に帰国指示。飛行機も手配。

韓国:福島原発から半径80キロ圏内に避難勧告。

ざっくり、こういうイメージです。

日本政府の対応は、福島原発から半径20キロが避難勧告、
30キロが屋内退避ですので、それに比べると、各国とも、
かなり神経質にも感じる対応をとっているように見えると
思いますが、これが危機管理の国際水準だと思ってください。

「安全を確保する」とは、こういう対応を意味し、各国は、
僕が繰り返し言っている「保険」をかけているのです。

しかし、これを見て、「うわ、ヤバいじゃないか!」と思うのは、
思考が停止しています。

何度も言いますが、各国は、「最悪のケースを想定して」
指示を出しているのです。

ですから、現状どんなに悪くなっても、これくらいで十分だろう、
と判断しているということです。

一番注目してほしいのは、ドイツやフランス、ロシアなど、
ある種特殊な事情を抱える国以外は、「帰国指示」を基本的に
出していませんね。

つまり、日本を離れる必要までは、全く感じていない、
ということです。

また、BBCやCNNなどの特派員も、まだ東京にいます。

こういう外国人が、半ば強制的に帰国させられないということは、
その必要まではない、つまりそういう意味では大丈夫だという
判断をしていると考えることができます。

ですから、こういった主要国の大使館が、「引き上げ」を
指示するかどうか、それがひとつの指針になるかなと思います。

特に英・米は、こういう対応は極めて迅速かつ正確ですので、
よくよく注視しておくといいと思います。

例えばアメリカの80キロ圏内の避難勧告は、裏を返せば、
現状80キロ以上離れていれば、絶対安全であると判断している、
ということです。

あの、自国民さえ無事ならあとは何でもいいと考えている、
アメリカ首脳が、です。

ですから、230キロ離れている東京が、アワアワして、
いろんなものを買い占めて、いい年こいたおっさんが新幹線や
飛行機で遠くへ逃げるのは、やや、過剰反応だということを
意味します。

(※もっとも、僕が聞いた話では、関西方面行きの新幹線は
子ども連れが多いということでしたので、その点は少し
安心していますが。)

大使館のサイトなどで、随時主な情報は更新されますので、
それを見ておくだけでも参考になるはずです。

別に、僕も大使館の人から直接情報をもらっているわけでは
ありませんし。

ひとつの基準として、お役にたてれば。

くどいですが、最後の判断は、ご自身でお願いします。

2.前回の続き。

さてさて、前回の続きです。

内部被曝という観点から考えたとき、最も危険なのは、
大量の線源が、首都圏に漂ってくること、という部分まで
確認しました。

「漂ってくる」ということを、もう少し厳密に考えてみると、
線源が漂ってくるためには、

1.何にも遮蔽されないほど上空に舞いあげられる

2.首都圏の方に向かって吹く風に乗る

3.途中で墜落することなく、首都圏に届く

という3段階の条件を満たすことが必要で、それはつまり、
このひとつひとつを考えていけば、どういう状況になった時、
首都圏が危険になるかがわかるということを意味するわけです。

1に関しては、爆発の威力。

2に関しては、風向きと風速。

3に関しては、線源の重さ。

ざっくり言えば、こういう視点から、議論をすることができるだろう、
というところまでで、前回は終わっていました。

今回は、この続きを考えます。

さてまずは1についてですが、これはチェルノブイリのケースと
比較するのがわかりやすいと思います。

1.チェルノブイリの場合、核分裂が暴走し、制御棒をどうにか
入れようとしたけれど失敗し、むしろ逆に反応が加速したという
事実があります。

2.そしてあっという間に炉心溶融が起こり、さらに悪いことには、
蒸気爆発が起こることで原子炉の蓋が吹っ飛んで放射性物質が
流出、飛び散ります。

3.蓋が吹っ飛んだわけですから、当然外から酸素が入ってきます。

中学の時、理科の実験でやったと思いますが、酸素は、
とにかく物を燃やします。

吹っ飛んだ蓋から急速に入ってきた酸素のおかげで、
減速材の黒鉛が燃え盛ります。

核の反応と火災とも言える爆発が無限ループすることで、
尋常でない破壊力が生まれ、放射性物質が文字通り、
天高く舞い上げられます。

4.その高さは、実に約1万メートルと言われているほどです。

イメージできると思いますが、このくらい高くに放射性物質が
舞い上げられれば、相当遠くまで飛んでいく可能性が高い。

これがチェルノブイリの概要ですが、一方福島原発はどうであるか。

1.まず、当局の発表が正しいとすれば、制御棒は正常に作動し、
核分裂は既に停止しています。

ですから、そういうタイプの(爆発的)エネルギーは蓄積されていません。

また、今後再び反応が始まる可能性もなくはないわけですが、
ホウ素(=核反応を抑制する)も大量に投入したみたいですし、
チェルノブイリのように「暴走」するほどの環境は得られにくいと
考えられます。

2.チェルノブイリには格納容器がありませんでしたから、
炉心の蓋があくと、そこはもう大気です。

しかし福島原発においては非常に頑丈に作られている格納容器が
ありますので、蓋が開いてイキナリ世界とつながってしまう、という
可能性は格段に低いと考えられます。

3.この状況で格納容器が大破するということは考えにくいのですが、
仮に一部破壊などがあり、酸素が入ったとしても、福島原発は
軽水炉(減速材が黒鉛ではなく水)ですから、爆発的に燃えるものが
ありません。

4.その結果、チェルノブイリのように線源を天高く舞い上がらせるほどの
爆発が起こる可能性は極めて低く、例えば英国政府の主席科学顧問である
John Beddington氏は、どんなに最悪の爆発が起こったとしても、
500メートルが限界だろうと述べています(もっとも、この人の
専門を考えると、どの程度正確な試算なのかは、若干疑問ですが)。

仮にその程度の高さまでしか行かないと、到底、首都圏まで大量の
放射性物質が漂ってくる、ということは考えにくいわけです。

ですから、1の「爆発の威力」に関しては、あまり十分ではなさそうだ、
ということが言えます。

次に2の「風向きと風速」について検討してみます。

東北地方に住んでいる方はなんとなくわかると思うのですが、
基本的にあのエリアは、西から東に風が吹くことが多いです。

つまり、山から海。

ほとんどの場合、放射性物質は海の方に流れていくわけです。

もちろん全方位に風は吹くのですが、基本的にはどの方向に吹くか、
と言われれば、西から東だと思います。

風速も、たかだか500メートル程度の高さにある物質を、
200キロ以上離れた首都圏まで運ぶほどの強風がそうしょっちゅう
吹いているとは考えにくい。

これは基本的な力学の問題です。

高さ500メートル、距離200キロ。

これがどれだけ強い力で飛ばされないと届かない距離であるかという
ことです。

(※例えば今現在、僕が確認する限りでは、福島県で北から南に
吹いている風で最大のものは、風速3メートル/秒程度です。)

ここでそのまま、3の「線源の重さ」にいきましょう。

当たり前ですが、埃はふわふわ舞いますが、パチンコ玉は
まっすぐ下に落ち、舞うことはないですね。

つまり、一般的には軽いものの方が風に乗り遠くまで
飛んでいくわけですが、核燃料であるウランは、
非常に重たい金属です。

比重は約19ですから、鉄の2.5倍くらいの重さがあると
思ってもらっていいくらいです。

ちなみに、3号炉で一部使われているプルトニウムの比重は
約20と、ウランより重たいので、さらに遠くまで飛びにくいと
思います。

これらより重たい物質は、今のところ地球上には片手で数えられる
くらいしかないほど、重いのです。

さて、そう考えてくると、以下のような結論が
「理屈として」導かれます。

1.何にも遮蔽されないほど上空に舞いあげられる
→そんなには舞い上がらない可能性が高い

2.首都圏の方に向かって吹く風に乗る
→乗ったとしても、高さも勢いも足りない可能性が高く、
途中にある山や建物などに邪魔される可能性が高い

3.途中で墜落することなく、首都圏に届く
→重たすぎて、届かない可能性が高い(ヨウ素などその時
気体になっていると考えられるものは除く)

こういうことが、最も楽観的な見解として、
導かれるのです。

これが、専門家の人ほど「首都圏は絶対大丈夫」と言い張る
理論的根拠だと思います。

今、首都圏で「ここは安全に決まってる、なのに不必要に
うろたえているやつはただのバカだ」と言っている人は、
大なり小なり、こういう理屈でもって、つまり首都圏が
線源に包まれ、内部被曝をする可能性がほとんどないという
理屈でもって、自らの安全を確信しているのだということです。

(※前回考察したように、福島で計測されている放射線は、
そもそもまず東京までは届かないです。)

それはそれで、もちろん間違いではありませんから、
そういう判断をするのも、またいいと思います。

しかしご存じのように、僕自身は、逃げたいなら、そして
それが可能な環境にいるなら、なるべく早いうちに
逃げたらいいんじゃないですか、ということを
結論として主張しています。

その理由はたくさんあり、これまでのメルマガでいろいろ
説明してきました。

例えば、何かが起こってからでは、パニックが起こるという観点。

実は、イギリス大使館が「東京よりも西へ移動するように」と
勧告したのは、放射能のせいではありません(少なくとも、大使館が
公に発表した文章を読むと、違います)。

彼らは

「交通や食料などの混乱が予想される」

ことを理由にしており、放射能に関しては、John Beddington氏の
見解に従い、東京は間違いなく安全である、という立場を
「今のところ」「公式には」維持しています。

(※イギリス以外にも、放射能以外を理由にしているところがあります。)

あるいは、内部被曝の、性質です。

核燃料に使われているウラン(235)の半減期は7億年、
プルトニウム(239)は2万4000年、報道で話題になっている
セシウム(137)は30年、ヨウ素(131)は8日間です。

半減期、とは細かく説明すると面倒なのですが、
簡単に言えば、その線源が出す放射線の強さが
半分になるまでにかかる時間のことです。

ウラン7億年とか、プルトニウム2万4000年とか、
なんかもう僕らの感覚では意味がわからないですよね。

内部被曝の場合、厳密には実効半減期という概念が
用いられますが、この辺は割愛。

とにかく今分かってもらいたいのは、線源を吸い込むと、
もんのすごい長い時間、被曝し続ける、という事実です。

チェルノブイリの周辺がいまだに立ち入り禁止なのは、
そしてこれからも極めて長い間立ち入り禁止がとけないのは、
この線源の性質によります。

(※多分福島の原発周辺も、同じ運命になると思います。)

内部被曝というのは、煙草の受動喫煙などとイメージは
似ています。

体の中からジワジワと、生きている間ずっと被曝していく、
そういうことに、なりかねないのです。

吸い込む線源の量が微量であれば、普通、大した問題には
なりません。

例えば20年後に癌になる確率が0.5%上昇するとか、
その程度で済む。

その程度なら、喫煙している方が、慢性的に睡眠不足な方が、
添加物まみれの食事をしている方が、よっぽど癌のリスクが
高まります。

しかし、「被曝」というのは、遺伝子そのものを破壊しますので、
幼いうちからずっと被曝し続けるというのは、おそらく、
成長が完了している大人が被曝し続けるのとは、大きく意味が
異なると思うのです。

いわば、産まれたばかりの赤ちゃんが、産まれる前の赤ちゃんが、
24時間365日、遺伝子の風邪にかかっているようなものです。

影響が「ない」と考える方がおかしいでしょう。

つまり。

平たく言えば、成人しきった大人であればそこまでの問題には
ならないと思いますが、成長期の子供、あるいはお腹の中にいる
細胞分裂まっただ中の赤ちゃんなどに、どういう影響を与えるかと
考えたとき、僕は、やや心配が強く残る。

だから、大人の男は、そんなに神経質になる必要はないと
思いますと言っているわけで、放射線感受性の高い子供や、
妊婦さんを中心に、道を譲れ、交通のチケットを譲れ、
と言っているのです。

ですから僕は、絶対的な意味で、首都圏に危険がないとは思いません。

若い人が微量でも線源を吸い込めば、短期的には影響はないでしょうが、
長期的にはおそらく影響があります。

地震の心配も去っていません。

しかし一方、相対的には、今の100倍くらい放射線を浴びても、
今の3倍くらい停電しても、今の半分くらいしか電車が
動かなかったとしても、東北被災地の、比にならないわけです。

死者は、最終的にはおそらく2万人程度、避難民の数は
40万人近くにのぼり、毎日のように、老人や幼い子供など
体力がない人から死んでいっています。

それも、寒さや、飢えで死んでいるのです。

メディアに全く出てこない悲惨な避難所もたくさんあります。

「全員避難完了」と報道された、原発から半径20キロ圏内。

しかし昨日、そのエリアの病院で、120人以上の寝たきりの
患者が見捨てられ、信頼していた医者や看護師たちに放置され
置き去りにされていたことも明らかになりました。

今後もこういう例はいっぱい出てくると思います。

この後復興には数年を要するでしょうし、何より福島原発周辺は、
おそらくもう半永久的に、人が入れない。

そういう当たり前の事実を踏まえた上で、それでも僕は、日本の未来を
創っていく存在について、できるだけ万全を期してもらいたいなという
思いから、我々にできる最善のことをすべきだという思いから、

(1)逃げたい人、妊婦、子供などは、なるべく早くにどうぞ。

(2)逃げない人、必要なものを用意して、いつも通りどうぞ。

という結論を繰り返しているのです。

何度も言いますが、今首都圏を離れるのは、保険です。

必要なものを用意するのも、逃げるよりはだいぶ少ない掛け金ですが、
保険には違いありません。

保険ですから、ほとんどの場合、無駄になり、損をします。

その無駄と、万が一の事態を天秤にかけて、判断してください、
ということなのです。

保険というのは、足元を見る商売です。

「ほら、どうですか、癌になったら、こんなにかかるんですよ、
大変でしょう、いいんですか、保険に入らなくて」

というのが保険です。

つまり、その人の、自分が可愛いというナルシシズムに
訴えてくるのが保険なのであり、だから僕は保険が例外なく
嫌いなのですが、いずれにしても、その人のナルシシズム度合いが
大きいほど、大口の保険を契約することになります。

今回の場合は、当然、早く遠くへ逃げる、というのが、大口契約です。

ですから、僕は大人が自分のために(=ナルシシズムで)
逃げるのではなく、どちらかと言えば女性と子供を優先して
ほしいなと思っているわけです。

自分で自分に保険をかけるのはあまり好きではありませんが、
未来の世代というのは、これはとてつもない財産であって、
どれだけの保険を掛けても多すぎることはないと、僕は
思うのです。

とは言え、まあ、自分のために逃げるのも別に「悪い」わけではなく、
人間として当然のことと、どこかで理解を示す自分もいるのですが。

その辺は価値観や生き方の問題なので、僕がどうこう言うべき
所ではないような気もしますし。

とにかく、そういういろいろなことを考えて、各自、
後悔のないような判断をしていただければなと思っています。

さて、また20キロバイト位になりましたので、
今回はこの辺でひとまず送ります。

特に重大な局面が特になければ、次回で地震メルマガは
最後になるかなと思います。

質問や感想などがあればこのメルマガに返信してくださいませ。

ありがとうございました!

木坂

追伸:僕がこの一連のメルマガで考察していることは、
数学というよりは算数だし、物理科学というよりは理科です。

例えば、わかる人はわかっていると思いますが、前回の
被曝線量に関しても、常識的には積算量(積分した値)で
論じるべきところを、議論をわかりやすくするために
一次関数的に計算して論じたりしています。

その程度の知識と、人文科学や社会科学的な意味での、
一般的な思考力(類推力)とで、書いています。

言ってしまえば、常識に毛が生えた程度のことを、
偉そうに講釈たれているだけなのです。

ですから、本当に専門的なことが知りたければ、
専門家の書いた論文を研究するとか、彼らに直接聞くなど、
していただければと思います。